今を輝く期待の若手俳優たちが、渾身の力でスクリーンを駆け抜ける!

正月の風物詩にして、大学生ランナーが目指す晴れの舞台「箱根駅伝」。一本のたすきを繋ぐために己の限界に挑む若きランナーたちによる筋書きのないドラマは毎年、日本中に感動を呼び起こしているが、この舞台に立てる大学はシード校、予選会を通過した大学を合わせてわずか20校程度にすぎない。

そんな狭き門を目指し、落ちこぼれ陸上部員たちが立ち上がり、ひたむきに努力する姿を感動的に描いたのが、直木賞作家・三浦しをんの同名小説を映像化した本作品だ。将来を嘱望されながら挫折を味わったハイジとカケル、そして陸上部員とは思えないアクの強い面々が練習を積み重ね、やがてチームが一つになり軌跡に一歩また一歩と近づいていく―。

東京の都心に程近い寛政大学。長距離ランナーとして致命的となる膝の故障で挫折を味わった4年生のハイジ(小出恵介)は、今年の新入生のなかに自分と一緒に夢を叶える最後の切り札を見つけた。高校時代に天才ランナーとして将来を嘱望されていた彼の名はカケル(林遣都)。その走りを目の当たりにしたハイジは、強引に声をかけ、戸惑うカケルをそのまま自らが寮長を務める竹青荘(通称:アオタケ)に入居させる。

入寮しているのは、2浪1留で既に25歳となったヘビースモーカーのニコチャン(川村陽介)、在学中に司法試験を合格した法学部のユキ(森廉)、ビジュアル系のルックスを持ち、三度の飯より漫画が好きの王子(中村優一)、クイズオタクで雑学王のキング(内野謙太)、流暢な日本語を話すアフリカからの留学生ムサ(ダンテ・カーヴァー)、その心優しい性格から「青荘の良心」と呼ばれる神童(橋本淳)、女のことしか頭にない新入生のジョータ(斉藤慶太)とジョージ(斉藤祥太)は双子の兄弟、など一癖も二癖もある奇妙な面々ばかり。

オンボロぶりを差し引いても激安と言って過言ではない寮の家賃の裏には、陸上部に入部して毎朝5キロ走るという入居条件が隠されていた。しかし、寮長であるハイジの美味い料理に魅せられて入部(=入寮)したほかの8人の住人は、まだ誰もハイジの秘めた野望に気付いていない。

ハイジとカケル以外、まとも陸上に取り組んだことのない彼らを前にハイジはある日、堂々と宣言する。「皆で力を合わせて、箱根駅伝の頂点を目指そう!」と―。寝耳に水の9人は唖然とするばかり。長距離ランナーに求められる資質を誰よりも知るカケルは猛反対するする。

「陸上経験者のニコちゃん、サッカーが得意なキングと双子、剣道をしていたユキ、往復10キロの山道を通学している神童、陸上王国アフリカ出身の潜在能力が期待できるムサ」とハイジは独自のメンバー分析から勝算はあるという。竹青荘の大家にして陸上部の監督である田崎(津川雅彦)も箱根駅伝を目指すという目標はまんざらではないようで、励ましの言葉を口にする。

翌日から箱根を目指す日々がはじまった。メンバーは皆、見かけによらず(?)ハイジの睨んだ通り、練習を重ねるに連れて段々とタイムを短縮していく。しかし、王子だけは顔を真っ青にして息も絶え絶えの状態。箱根の出場権を争う予選会に出場するためには「5,000メートルを17分以内で走破」という厳格な基準があるが、王子だけが33分と倍近い時間を要している。

記録会で長距離ランナーとしての才能を見せ付けたカケルに、ハイジの高校の同級生で今は駅伝の名門校である六道大学で活躍している藤岡(渡辺大)が語りかける。「奴(ハイジ)もようやく復調してきたな。膝の故障がなかったら、俺たちは毎年箱根で会っていた」と。初めて聞いたハイジの怪我に驚くカケル。彼の完璧な走りに刺激され、カケルは焦りと欲を感じる。そしてある日、未だ基準タイムに程遠いにも関わらず、漫画に目がないな王子と、駅伝という目標がありながらも酒盛りにふける皆に不満が爆発する。

一方、選手と監督、マネージャー、そして寮長と多くの責任を一人背負っていたハイジはその過労と貧血から倒れてしまう。カケルのメンバーへ叱咤を知ったハイジは、「漫画と同じように、走ることを好きになれと言ったそうじゃないか。その言葉こそ、本当の君だ」と言う。「長距離ランナーへの一番の褒め言葉って難だと思う?」「速い…?」「俺は、強い、だと思う」 箱根に賭けるカケルとハイジたちの真摯な思いを目の当たりにした王子は、人が変わったように訓練を重ね、遂にタイムをクリア。

チームが一つとなりおぼろげながらも箱根駅伝が見えてきた寛政大学は予選会を前に、夏の合宿訓練を開催する。近くでは、合宿を行っていた東京体育大学の榊(五十嵐隼士)の姿もあった。カケルと高校の同級生だった榊は、ハイジに「そいつ(カケル)は監督を殴って、俺たちの最後の1年を棒に振ったんですよ」と挑発的な言葉をかける。

季節は流れて遂に予選会の日を迎えた寛政大学陸上競技部のメンバーたち。天才ランナーとしての片鱗を見せ付けたカケルの力走をはじめ、全員が練習の成果を十二分に披露した結果、最下位の9位ながら見事に通過、ついに箱根への切符を手に入れる。翌年の1月2日、箱根駅伝のスタート地点、東京大手町。1区を任された王子は、プレッシャーに打ち勝つことができるのか? この大一番を前に風邪を引いてしまった神童は? そして何よりも、膝に爆弾を抱えるハイジは──?「最高の朝だよな、カケル」1本の襷に己の全てを賭けて、レースの火蓋が遂に切って落とされた──。