箱根駅伝を目指す落ちこぼれ陸上部員たちの軌跡を描いた感動の物語!

致命的な故障でエリート・ランナーへの道を閉ざされたハイジ(小出恵介)は、京王線・千歳烏山駅に近い寛政大学に通う4年生。ある日、ハイジは新入生のカケル(林遣都)の走りを目にする。彼は高校時代にその強靭なスタミナと脚力を武器にインターハイを制覇した天才ランナーだった。ハイジはカケルを自分が住んでいる通称「アオタケ」と呼ばれる古アパート(竹青荘)に連れて行き、半ば強引にも住まわせることにした。

ハイジが寮長を兼ねているアオタケは賄い付きで3万円という都心のアパートとしては破格の家賃だが、陸上競技部に入部して、毎朝5キロ走らなければならないという独自の入居条件があった。

しかし、アオタケに住む面々は、25歳でタバコ中毒のニコチャン(川村陽介)を筆頭に、学生ながら司法試験に合格済みの秀才ユキ(森廉)、運動御地にして大のマンガオタクの王子(中村優一)、クイズマニアのキング(内野謙太)、アフリカからの国費留学生ムサ(ダンテ・カーヴァー)など、およそ陸上部員のイメージからは程遠い曲者ばかり。それもそのはず。彼らは寮長であるハイジの料理だけが目当てで、目的もなく入居条件をこなすに過ぎないのだ。

しかし、元天才ランナー・カケルとの出会いを機に、ハイジは密かに温めていた夢を踏み出すのは今しかないと心に決める。そして、ある日、アパートの住人たちを前に「10人で箱根駅伝を目指す!」と宣言する。まともに陸上をやったことのない素人集団で駅伝を目指すのは無謀だと陸上経験者のカケルは反対するが、陸上部で監督を務め、アオタケの大家でもある田崎(津川雅彦)の激励を受け、部員たちの特訓が始まる。

練習を重ねるにつれ住人たちは徐々にタイムを縮めていく。その結果、予選会出場に必要な基準タイムに届かないのは王子だけになった。記録会に出たカケルは、ハイジの同級生で現在は陸上の名門校・六道大学でエースとなった藤岡(渡辺大)から、ハイジは膝の故障が原因でエリート・ランナーへの道を諦めざるを得なかったと聞かされる。藤岡の完璧なまでの走りを目の当たりにし、またハイジの故障を知ったカケルは焦りを募らせる。そして、練習に真剣にならずに漫画に夢中な王子や酒盛りに興ずる仲間に不満を爆発させる。

一方ハイジは、自分が部員たちをまとめて箱根駅伝に行くという責任感がたたって、過労と貧血で倒れてしまう。部員でただ一人基準タイムに届かなかった王子もこれを機にまるで別人にでもなったかのように練習に打ち込むようになり、ついに基準タイムを突破する。

夏、ハイジたちは箱根駅伝の出場を賭けた予選会に向けて合宿を行う。同じく近所で合宿をしていた東京体育大学には、カケルと同じ高校に通っていた榊(五十嵐隼士)がいた。榊はハイジに、カケルが勝利至上主義の監督とそりが合わず、諍いをきっかけに監督を殴ってしまい、陸上部が1年間の大会出場停止処分のきっかけになったと打ち明けるが、ハイジは知っていたと答える。

合宿を経て一回り成長した寛政大学陸上部はついに予選会に出場、カケルは強豪・甲府学院大の留学生ランナーであるイワンキを抑え、3位でフィニッシュ。他の9人も力走を見せ、遂に最下位の9位ながらも予選を通過して、本戦出場を決めたのだった。そして年が明けた1月2日、箱根駅伝本番を迎える。

キャスティング

昨日までは目的を持たずに漫然と日々を過ごしてきたごく普通の若者たちが、仲間と固い絆を結ぶ喜びと、一心不乱に夢を追求することの充実感を知り、限界に挑戦する。そんな彼らが掴んだのは、今を確かに生きているという手ごたえだ。本作品は、将来の見えない不安な現代に呑み込まれることなく、生きることの実感を得るために、「新しい何かを始める」勇気と希望を与えてくれる。

原作は、「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞した作家・三浦しをんの同名小説。選手たちが自問する「走るとは何か?」という言葉は、「生きるとは何か?」というすべての人が抱える問いかけと重なる。若人をテーマにした爽やかなスポーツ青春小説であると同時に、普遍的な人生のテーマを追求した作品として幅広い世代に支持されている原作の映画化が遂に実現した。

長距離ランナーに求められるのは、“速さではなく、強さだと思う”──箱根駅伝の頂点という夢に向かってチームを牽引、自身も膝の故障による挫折を乗り越えようとするハイジを演じるのは、『ROOKIES─卒業─』の小出恵介。実力を備えた若手俳優が増えるなか、その確かな演技力は一歩抜きんでていると評価は高い。

現代のチームスポーツで優先されがちな勝利至上主義から離れて、純粋に走ることを追い求めたため、過去に走る舞台から追われることになった天賦のランナー・カケル役には、『バッテリー』で一躍世間の注目を集め、ドラマ『美丘』『荒川アンダーザブリッジ』に抜擢された、人気若手俳優の林遣都。

そのほか、『仮面ライダー電王』の中村優一、「ROOKIES」の川村陽介、『タッチ』の斉藤慶太、斉藤祥太、ソフトバンクCM「白戸家」で上戸彩の兄を演じて大ブレイクしたダンテ・カーヴァーなどが出演している。また、陸上部の監督役の津川雅彦をはじめ、鈴木京香、寺脇康文、和久井映見、高橋かおりらのベテランが脇を固めている。

監督は、NHK大河ドラマ「風林火山」、「クライマーズ・ハイ」、映画『星になった少年』などの脚本を手掛けている大森寿美男。メガホンを取るのは本作品が初めてとなる。舞台となる箱根駅伝の臨場感をスクリーンに再現するため、3万人のエキストラを集めて、1区から10区までのコースを忠実に再現している。

駅伝の面白さ…選手のベスト記録を単純に足して最もよいチームがいつも勝つとは限りません。それが駅伝の難しさでもあり、チーム競技としての面白さでもあります。